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クリニック経営 成功への道

クリニック開業で資金調達しやすい事業計画書の内容とは?

クリニック開業で資金調達しやすい事業計画書の内容とは?

事業計画とは?

クリニックの開業を計画するときに、必ず事業計画書を作成します。事業計画書とは、クリニックをいつどこで開業し、どのように売上げて利益を出し、借入金をどのように返済していくかが書かれた、経営数字の羅列です。

この事業計画書を持って、銀行などの金融機関に融資をお願いし、資金調達をしてクリニックの内装工事に入ります。

クリニックの事業計画を作成する際、資金調達しやすい事業計画であることは大事です。しかし重要なことは資金調達が目的ではなくて、クリニックの開業が成功することが目的であることを忘れないことです。

そのため、資金調達をなんとか実現するために、銀行やリース会社などに印象をよくすることに重きを置きすぎて実態とかけ離れたものになっては元も子もありません。

事業計画書の作成で重要なことは、事業計画どおりにクリニック事業が運営できるという実現可能なものであること、そのうえで資金調達をしやすいものであることです。

事業計画書の作成を先生がゼロから一人で作成されるということはあまりないと思います。ほとんどが、クリニック開業を支援して頂く、開業コンサルや薬卸会社や医療機器販売の開業支援の担当者、調剤薬局の方が事業計画作成の支援をされると思います。クリニック開業で資金調達しやすく、そして実際にクリニックを開業させて黒字化して成功するための事業計画書を作成するうえで重要なポイントを詳しく解説します。

その際に、支援してもらって作った事業計画が良いのか悪いのか、なかなか判断が難しいと思いますが、開業コンサルタントだけに任せ切りになるのではなく、できればクリニックの経営者になられる先生が少しでも把握できるようになればと思います。

クリニックの売上が黒字になる1日平均患者数」と併せてご覧ください。

リースよりも銀行借入金でなるべく調達すること

医療機器は、リースする方法と銀行借入金で購入する方法があります。

銀行から借りたお金は返済期間が例えば20年など長期間であることが多いのですが、リースの場合は5年や6年など銀行借入期間よりも短いのが一般的です。

例えば1,000万円の医療器械を購入するために銀行借入金で20年かけて返済する場合と、リースで5年で返済する場合を比較してみましょう。

銀行借入金で20年で返済する場合、毎年の元本返済額は1000万円÷20年=50万円になります。

一方、リースで5年間で返済する場合、毎年の返済額は1,000万円÷5年=200万円になります。

このように銀行融資の方が毎年返済する額が小さくなります。その結果、手元に残るお金が多くなるので資金繰りが楽になり、倒産しにくいクリニックになります。

もちろん、保守やメンテナンスなどの関係からリースの方がよいという医療器械もありますので、総合的に判断すべきです。

借入期間はできるだけ長くすること

銀行借入金の返済は、開業後1年間は元本の返済を据え置いてもらう方がよいです。

通常の返済では、利子と元本を少しずつ返済していきますが、開業後1年間は売上が少ない状況なので借入金の返済原資が十分にできない状況にあることが多いため、利子の返済のみにしてもらうことです。

ただし、テナントに入居する場合は定期借家契約期間が借入返済期間の限度なので、テナントで契約する場合には、あまりに短い定期借家契約期間の場合には、銀行借入金の返済期間が短くなり、その分だけ返済する金額も大きくなるため、資金繰りが厳しくなるので気を付けましょう。

機械などは必要最小限の購入に抑える

例えば、機械など2台あった方がよいけど、最初は1台あれば診療ができるな、というものがあります。医療機器の会社の方は当然2台の購入を勧めてきます。ただし、1台あれば大丈夫そうなものは1台でおさえるのが資金調達のしやすさの面からの実際の運営の安全性の面からもよいのです。

開業に必要なお金が大きくなればなるほど、たくさんの資金調達をしなければならなくなります。銀行やリース会社は融資する金額がその後のクリニックの運営で稼ぐキャッシュフローできちんと返済できるのかを考えて融資するかどうかや、融資額を決定します。

まとめて買った方が安くなるといわれても、開業後運営が軌道に乗って資金繰りが見えてから購入を検討した方が安全です。

なるべく長い期間かけて払う

火災保険などは、5年分まとめて払うと、毎年を5回払うよりも支払い総額が少なくなるケースがほとんどです。そこで開業時にまとめて5年分支払うようにされる先生もいらっしゃいますが、その分だけお金が減ってしまいます。開業当初は、赤字経営でも資金繰りができるように、なるべくお金を手元にたくさん持っておくようにした方がよいです。

医師会入会時に会館建設協力金と払う地区もあると思います。医師会によっては分割払いもできますので、分割払いできるのであれば分割払いの方が資金が手元に残っている期間が長くなるのでお勧めです。

支払をなるべく後日にずらしてもらう

社保(支払基金)、国保(国保連合)からの振込(入金)は、診療月から2ヶ月後にあります。例えば4月診療分は6月に入金されます。このことから、開業後2ヶ月は社保、国保からの振込入金がない状況です。

また、開業後3ヶ月目にようやく開業月の分が入金されるのですが、開業月の売上は一般的に少ないので開業後3ヶ月目に入ってくる社保、国保の入金額も少ないのが一般的です。

さらに、個人クリニックの場合、国保からの振込時には、振込額の約10%が控除されます。

なので、開業後3ヶ月間は窓口売上分の入金と開業後1ヶ月目の社保、国保の入金がわずかにある程度です。

一方で、人件費や家賃や消耗品等の経費の支払いは普通にあります。売り上げが少ないからと言って、それらの支払いを減らすわけにはいきません。そしてリース会社への返済も始まります。

開業後初めての診療材料費の支払いや開業コンサルタントへの支払いなど業者様の協力が得られる場合には、なるべく後日に支払うとその間の手元資金が確保できますので、より安全性が高まります。例えば、1ヶ月後に支払うのを、交渉して2ヶ月後に支払っても良いという契約にするわけです。

運転資金は十分に確保すること

開業の時に必要な資金は

  1. ① 設備投資資金
  2. ② 運転資金

です。①設備投資資金とは、医療機器や建築内装工事、ホームページ作成、看板作成などのために必要な資金です。②運転資金とは、クリニックが事業を維持していくために必要な診療材料の仕入れ、職員の給与、家賃など、クリニック運営をしていく中でかかるさまざまな費用をまかなう手元資金のことです。

先述したように、開業後2~3ヶ月間は社保国保からの入金が少なく、支払は当たり前に発生するので手元資金が減っていくことが多いです。

また、開業してすぐ患者さんが増えてくればよいですが、一般的にはクリニックの認知度や口コミは徐々に増えていくものなので、収支分岐点に達するまでに数ヶ月から1年、場合によっては1年以上かかることもあります。

その間は収入よりも支出の方が多いことになります。売上高が少しずつ増えていき、収支分岐点に達して黒字になるのに、どれくらいの時間を要するかは、ある程度の予測はできますが、正直開業してみないとわかりません。そのため、運転資金は十分すぎるほどあってもよいと思います。

私がこれまで開業支援してきた経験から、規模にもよりますが、クリニック開業時の運転資金として1,000万円は最低ラインだと考えます。1,500万円から2,000万円は確保したいところです。銀行から「そこまでの運転資金は必要ない」と言われたり、「全額は貸せない」といわれた場合でも、自己資金で開業資金を補えるようにしておいた方がよいです。

また、開業資金が融資されるとしても、運転資金を十分確保できるように、開業前には貯蓄をしておいた方がよいです。

自己資金を確保すること

開業に必要な資金全額を銀行やリース会社から資金調達できるとは限りません。特に昨今の医療経営環境は物価の高騰や人件費の高騰、診療材料費や検査委託費の高騰など厳しくなってきています。

銀行やリース会社もクリニックの経営環境が厳しいことを把握しており、ひと昔前のように、クリニックの開業だったらいくらでも貸しますよ、という状況ではなくなっています。そのため、自己資金をできるだけ確保できるように開業前から蓄財を心掛けたいところです。

目安としては、開業必要資金の1割は自己資金としてだせるように蓄財しておいてください。できれば2割あるとよいです。

ただし、銀行やリース会社が必要資金を満額融資します、ということであれば、自己資金を使う必要はないと思います。開業後のクリニックの立ち上がりがよろしくなく、資金繰りが悪化したときに、銀行はすぐに追加の融資をしてくれるとは限りません。そういうときのために自己資金をとっておいた方が安全であるからです。

また、自己資金を十分確保していることを銀行に示すことで、先生の資金管理能力、計画性の高さが評価されます。

開業時に銀行から資金調達するときには、銀行へ勤務医時代の確定申告書3期分の提出、先生が預金などの資産をどの程度持っているかの資産状況の把握がなされることが一般的です。年収と蓄財の関係から先生が貯蓄の習慣があるか、開業のために計画的に資金を確保してきているかの確認がなされます。

この点からも、自己資金を十分確保しておくことは銀行の信頼が高まり資金調達がしやすくなります。

先生の生活費を事業計画(資金繰り)に反映させること

クリニックを開業すると、患者さんを診療してお金が入ってきますが、収入から支出を引いたものがプラスにならなければ赤字ですから、手元にある資金は減っていくことになります。

ここで支出には先生の生活費も含まれます。

開業後も他の病院などからの給与で生活費を稼ぐのであれば別ですが、開業後も他の病院で働く先生は稀です。そのため、事業計画は、先生の生活費も考慮して作成しなければなりません。

先生の生活費は経費になりませんが、事業計画を立てる上で、生活費の支出を考慮した上で資金が持つかを検討する必要があります。場合によっては、一時的に先生の生活費を低く抑えていただき、黒字になりやすい事業計画を立てる場合もあります。

診療単価は実態の数字を使う

知人や先輩後輩の方で、自分の診療スタイルに近い方から、患者さん一人当たりの診療単価の情報を得て、実態を把握することです。診療単価を間違って見積もってしまったら、想定していたよりも売上が減ってしまい、赤字が長く続いてしまうこともあります。

平井公認会計士事務所は、顧問先のクリニックの1回あたりの単価、レセプト単価を把握していますので、より実態に近い診療単価で事業計画を作成することができます。

多くの開業支援をされる方は、開業後の実際の診療単価を把握する、把握できる機会がほとんどないので、実態と離れている事業計画書を作成するケースもあります。

厚生局が出している都道府県毎、診療科毎の情報も大まかすぎるので、参考にはなりますがそれを事業計画に当てはめるのは難しいと思います。

診療単価を正しく想定することは、コンサルタントの経験と実績が問われます。

診療日数は実態に基づいて作成する

以前に、ハウスメーカー担当者が作成した事業計画書で1ヶ月の診療日数が24日になっていることがありました。しかし、平日の半日、土曜午後、日曜祝日を休診にするクリニックの1ヶ月診療日数は20.5日~21日程度です。

診療日数を多く見積もって事業計画を立てると、実際には休診が多くなり、その分だけ事業計画での売上高よりも実際の売上高が減るため、赤字に陥りやすくなります。

日本はゴールデンウィークやお盆休み、シルバーウィークに冬休み、それ以外の祝日など結構休診日になる日が多いのが実情です。平井公認会計士事務所では、いろいろなクリニック顧問先の1ヶ月間の診療日数を集計しているので、1ヶ月当たり診療日が24日というのは、過大な日数であることがわかります。

このように実態よりも多い診療日数で事業計画を作成すると本来よりも多くの売上が計上されてしまいますので気を付ける必要があります。

以上、クリニック開業で資金調達しやすい事業計画の内容についてまとめました。

事業計画の作成は、コンサルタントといっしょに作成することになりますが、コンサルタントの知見や経験が乏しいと、これらのことを考慮しないで、赤字になりやすい事業計画を立ててしまうこともあります。

クリニックの事業計画作成支援なら、実績豊富な平井公認会計士事務所にお任せください。

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