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【クリニック専門】平井公認会計士事務所|医科特化の経営支援・医療法人化(全国対応)

クリニック経営 成功への道

クリニックが経営難に陥る5つの理由と対策

クリニックが経営難に陥る5つの理由と対策(医療法人専門税理士がわかりやすく解説)

「地域医療に貢献したい」という崇高な理念で開業した先生が、最も直面したくない現実。それが「経営難」です。

しかし、厳しいようですが、クリニックの倒産や廃院の直接的な引き金は「医術の未熟さ」ではなく、例外なく「資金繰り(キャッシュフロー)」の悪化です。キャッシュフローとは、現金の出入りの流れのことですが、キャッシュフローを管理し、手元に現金を残すことで倒産や廃院を防ぐことができます。

キャッシュフローの基本は、もちろん利益を出すことです。利益が出ているかは、財務諸表の一つ「損益計算書(P/L)で確認できます。収益から費用を差し引いて、一定期間の経営成績を示す書類です。

損益計算書上で「利益」が出ていても、入金と出金のタイミングがずれるため、通帳の「現金」が足りないことがあります。納税や借入返済、スタッフの給与を支払う「現金」が通帳になければ、経営は立ち行きません。

本コラムでは、医科特化の平井公認会計士事務所が目撃してきた、資金繰りが悪化しクリニックが経営難に陥りやすい「5つの理由」とその対策を数字とともに解説します。

期末に現金が残らない、スタッフの給料や税金が重いと感じる先生は、ぜひ最後までご覧ください。

経営難1.開業直後で患者数が伸びない:認知の壁と「自己資金」の重要性

開院直後の患者数の伸びは事業計画通りにいかない

開業コンサルタントが作成する「事業計画書」は、往々にして初月から順調に患者が来る「バラ色の計画」になりがちです。

しかし、現実は非情です。特に内科等の慢性疾患を扱う診療科では、患者様はすでに他院に「かかりつけ医」を持っており、クリニックの認知から来院までには大きなタイムラグが生じます。そのため、患者数は事業計画通りに増えないことが多いのです。

患者数が事業計画通りに増えないなら、利益も増えません。しかし、家賃や人件費などの支払いは発生するので、準備していた運転資金がグングンと目減りしていきます。

運転資金を「想定の1.5倍」確保すべき真の理由

例えば、月間の固定費(家賃、人件費、ローン、生活費等)が300万円のクリニックなら、通常、6ヶ月分(1,800万円)を運転資金として計画するコンサルタントは多いと思います。

しかし、私はあえてその1.5倍、つまり9ヶ月分(2,700万円)程度の確保を提言します。月額固定費の10倍ほどと覚えておいてください。

患者様を診察すると売り上げとなり、診療報酬が得られます。しかし、実際に現金が入ってくる時期は、診療報酬の入金は窓口負担分を除き、2ヶ月後です。開業当初は、売上が固定費を上回るまで相当な時間を要します。そのためにも、余裕を持った運転資金を準備するわけです。

ここで注意すべきは、銀行から「そこまで余裕を持った運転資金の融資はできない」と断られるケースも多々あるということです。銀行は実績のない開業前には、冷徹に「標準的な枠」しか提示しません。

だからこそ、開業前から運転資金に充当できる預金(自己資金)を、計画的にしっかり貯めておくことが不可欠なのです。日頃からの貯蓄習慣は、銀行からの信頼に直結します。万が一、何らかの事情で開業をしなかったとしても、貯めていた資金は決して損にはなりません。

開業を志すなら、まずは足元の貯蓄から始める。その余裕が、経営者の精神的安定、ひいては良質な診療の土台となります。

【対策】「待ち」から「攻め」への構造改革

人口減少地域で開業した場合は、従来の「待ち」の姿勢は通用しません。

物理学者のアインシュタインは「同じことを繰り返して、違う結果を期待するのは狂気だ」という言葉を残していますが、これはクリニック経営も同じです。

お昼休みを返上しての訪問診療、あるいは送迎支援を行うなど、こちらから患者様の元へ手を伸ばす覚悟が必要です。

また、土曜午後や日曜診療など、他院がやらない患者様にとっての「不便の解消」は、診療報酬上の「時間外加算」や「休日加算」という単価アップにも繋がる戦略的な一手となります。

このような他のクリニックではやらないサービスを導入するという構造改革によって患者数を増やすことが基本です。

経営難2.近隣に同一診療科のクリニックが開業:激戦区での「比較」と「淘汰」

福岡県はクリニックの超激戦区です。開業当初は商圏内に自院の診療科のみだったとしても、同じ診療科の競合クリニックが近所に開業することもあります。

競合となるクリニックは自院の研究をしてきているので、患者様が取られてしまい、売上が落ちることは必至です。競合が現れて売上が減少したとき、焦って闇雲に「広告費」を増やす前に、まずは内部の収益構造を見直してください。

【対策】敵を知り己を知る「徹底した競合分析」と「広告戦略」

競合クリニックが現れた際は、まず相手を徹底的に分析することが先決です。

  • 専門分野の差別化:競合クリニックのHPを読み込み、相手が何を得意としているか(例:内視鏡なのか、生活習慣病なのか)を分析します。その上で、自院の強みをより明確にHPやブログで打ち出してください。
  • 競合クリニックの内覧会への潜入:競合クリニックの内覧会には必ず足を運び、導入されている医療機器や動線を観察してください。「開院祝い」として訪問すると相手の先生は「受け入れられた」と思い、新設に対応してくれることが多いです。相手がどこに力を入れようとしているかを肌で感じることは、自院の守りを固めるために不可欠です。

その上で、以下のような「先手を打つ広告施策」を検討し、競合クリニックの集患障壁を高めます。

  1. 動線を押さえる野立て看板:患者様の生活動線(例えば、通勤での家から最寄り駅までの道のり)を「線」で押さえる位置に看板を先行設置し、地域住民に「〇〇の検査ならここ」というイメージを定着させます。
  2. MEO(Googleマップ)対策とリスティング広告の先行運用:Googleマップの活用を強化しつつ、競合クリニックがオープンする数ヶ月前から特定のキーワードで広告枠を押さえ、自院の認知を高めておきます。
  3. 利便性の徹底周知:土日検査や当日検査を行っている場合、その強みを徹底的にアピールします。
  4. 地域連携と検診の囲い込み:周辺の処方箋薬局や他科クリニックとの連携を深め、紹介ルートを強固にするとともに、近隣企業への健康診断の営業を積極的に行い、確実な収益源を確保します。自院の立地によっては病診連携も検討してください。

経営難3.スタッフが一斉に辞めてしまった:組織の「心不全」を数字と感情で解く

スタッフの一斉退職は、診療の継続を不可能にする「組織の心不全」です。「スタッフが一斉に辞めてしまうなんて、あり得ない」と思われるかもしれませんが、ときどきあります。

採用難の現代において、一人の採用コストが100万円を超えることも珍しくありませんから、費用負担もかなりのものになります。

【対策】平井式「賞与財源算出フロー」と組織の「膿」出し

大量退職の原因は待遇だけではありません。スタッフが自分の所得向上を考えて働く仕組みとスタッフとの円滑な人間関係がポイントです。

  • 平井式「賞与財源の算出フロー」:売上に対する人件費の割合(例:25%)を目標値に設定します。この比率のことを人件費率といいます。「(確定した売上 × 25%)-(既払いの毎月の給与・社保負担)」で算出された余剰分を、そのままスタッフの賞与財源とするルールを明文化します。スタッフが効率よく働き、無駄な残業を減らせば自分たちの手取りが増える。この納得感こそが、離職を防ぐ特効薬となります。
  • 組織の人間関係へのメス:一気に大量退職が起きる場合、仕事はできるが他者への圧が強すぎる「お局さん」の存在や、院長自身の高圧的言動が隠れていることがあります。まずは管理しやすい「ざっくりとした評価制度」から導入してください。運用しながら「院長がどのようなスタッフを評価したいか」という想いを項目に反映させていく。その改善過程こそが、理想の人材を育て、組織を浄化していくのです。

経営難4.高額な医療機器を導入して資金繰り悪化:投資と返済の「ミスマッチ」

「最新の医療機器があれば…」という欲求は健全ですが、最新の医療機器は高額になりがちです。財務の裏付けがない高額投資は死に至る病となり得ます。

減価償却費(現金支出なし)と返済(現金支出あり)のズレを理解する

高額機器の購入費用は数年に分けた減価償却費(資産の購入費用を使用期間にわたって配分する費用)として経費化されますが、銀行への返済は「現金」で即座に始まります。そのずれが資金繰りを悪化させ、クリニックが経営難に陥ることもあります。

P/L(損益計算書)上は黒字でも、現金だけが出ていく「借入元本返済」が多すぎると、通帳残高は猛スピードで消えていきます。現金がなくなり、支払いができなくなったら倒産です。

【対策】投資回収の「大局的な」シミュレーション

投資を行う前に、「その機器で1日何人の患者が増え、回収に何年かかるのか」をシミュレーションしてください。1円単位である必要はありません。

例えば、600万円の医療機器を導入し、患者様が毎日1人増えたとしましょう。売上高は年間で約200万円増え、その利益が150万円だとすると、医療機器の代金の回収に4年かかります(600万円÷150万円=4年)。医療機器購入時に600万円の現金が出ていき、回収に4年かかり、それ以降が純粋な利益となる計算です。

これはあくまでも簡易的な試算ですが、実際に患者様が毎日1人増えるのか、増えないのか、医療機器を扱うスタッフの給料をどうするのか、そういったシミュレーションを行います。

重要なのは、高額投資と経営の安定を天秤にかけ「大局を見誤らないこと」と、高額投資が本当に利益を生み出せるのかという「致命的な投資ミスをしないこと」です。

平井公認会計士事務所では、医療機器の導入を検討しているクリニックの資金繰りや投資対効果(ROI)のシミュレーションも行っているので、ご利用ください。

経営難5.急に税金の支払いが増えて資金繰り悪化:忘れた頃にやってくる「支出」の波

開業2年目で利益が増えることが多いです。すると開業3年目あたりで納税額が増えてきますが、その金額に愕然とされるのは、資金繰りの管理が甘くなっているからです。

忘れた頃に襲いかかる「具体的な支出」の正体

そのような税金などの「急な支払い」と感じるものの多くは、実は事前に予測可能なものです。

  • 予定納税:年度の中盤に、前年度の実績に基づきあらかじめ納める税金です。前年が黒字であれば、その税金の約半分を期中に先払いしなければならず、一気にキャッシュが減ります。
  • 消費税:免税期間が終わり、課税事業者になった途端、昨年までなかった多額の負担が突如発生します。売上規模によっては、数百万円単位の支払いとなります。
  • 不動産取得税:土地・建物を購入して開業した場合、登記から半年から1年半ほど経った「忘れた頃」に都道府県から通知が届きます。これが数十万、数百万単位になることもあります。
  • 賞与時の社会保険料:先生やスタッフの賞与額を増やすと、賞与だけでなくそれにかかるクリニック負担の「社会保険料(約15%)」も激増します。賞与月は通常月よりも遥かに多い現金の準備が必要です。
  • 年払いのコスト:年払いの生命保険料や労働保険料の確定精算など、毎月ではない支払いは管理が漏れやすく、資金繰りの不意打ちとなります。

他にも、クリニックの内装工事で大幅な追加工事が必要になることもあります。オクスアイ医療事業開発ホームページ「クリニックの資金がなくなって経営難に陥るパターン」をご参照ください。

【対策】納税予測をルーチン化する

決算の2ヶ月前には、これらを見越した納税資金を「別枠」で確保しておくことです。

よく、「税金を払うくらいなら無駄でも経費を使ったほうがいい」という誘惑がありますが、それは間違いです。例えば、1万円を無駄な経費に使えば、通帳から1万円消えます。しかし、1万円を利益として残せば、最高税率で5,000円を税金として払ったとしても、手元には5,000円の「純粋な現金」が残ります。

この、税金を払った後に残る「5,000円(現金)」の積み重ねこそが内部留保であり、クリニックの資金繰りがピンチのときの唯一の命綱となります。

まとめ:経営難からの脱却は先生のマインドチェンジ

経営難を打破するために、本質的に最も重要なことは、決算書などの数字の分析ではありません。それは「院長先生の感性を研ぎ澄ますこと」です。

業績が悪化すると、すぐにお金をかけて広告を出そうとする先生がいますが、その前に「0円」でできる対策が山ほどあります。

クリニックは「人気が経営を左右する事業」

  • 患者様が寝る診察台の周りに埃が溜まっていませんか?
  • 先生の机は書類の山ではありませんか?
  • 待合室のソファが破れていたり、トイレが汚れていたりしませんか?

先生が飲食店に行くとき、不潔な店に好んで行きますか? 行かないはずです。しかし、自分のクリニックになると、全く気づかなくなる先生がいます。

白衣を整え、掃除を徹底し、笑顔で挨拶する。ホームページを刷新したり広告宣伝にお金を使う前に、まずこの感性を磨き直してください。それが、患者様が気持ちよく利用できるクリニックに改善し続ける仕組みづくりにつながります。

経営者の仕事は「自分にしかできないこと」への集中

院長はクリニックで最もコストが高い人材です。その院長が事務作業や片付けに時間を費やすのは、経営上の大きな損失です。「自分のコスト以下の仕事をしない」という覚悟を持ち、院長にしかできない診療と経営判断に集中してください。

「患者が増えない理由は、自分自身にあるかもしれない」

この痛みを伴う内省から始める覚悟があるか。自分を変えることにお金はかかりません。

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平井公認会計士事務所は、単なる記帳屋ではありません。先生の「理想」を守るために、時には耳の痛いことも申し上げます。医師である父が45年かけて築き上げた診療所の経営を、間近で見てきた私だからこそ伝えられる、愛ある「経営の真実」があります。

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  • クリニック経営が難しいと感じている
  • 毎年、税金が重くのしかかってくる
  • スタッフの給料の支払いが辛い

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この記事の著者

平井公認会計士事務所
公認会計士・税理士:平井 恵介


医療機関・クリニック専門の経営支援・会計事務所
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