クリニック開業成功マニュアル「信頼できる専門家とチームを組む」
- 2017.05.2|クリニック開業成功マニュアル
クリニック開業を成功させるために是非おさえておきたいことの一つとして「『信頼できる』『専門家』とチームを組む」ということです。
昨今医療費の抑制や人口減少、クリニック開業件数の増加等、医療経営の環境は厳しくなっております。
このような環境の中で、医療に専念してきたドクターが自分だけの知識や経験、判断で自力でクリニックを開業して成功するのはとても難しいといえます。
クリニック開業を成功させるためには、
①開業しようとしている場所における同様の診療科、患者さんの数、年齢構成、人口動態、小学校が多い、老人が多い、自費診療にお金を払える裕福な人が多い、駐車場が多い、バス、電車の便がよいなどの地域の特性などを考慮したマーケティングの検討
②待合室、受付会計、診療ゾーンの導線などが患者さんを受け入れるクリニックとして適切か否かの検討
③患者さんや院長の気持ちになって誠心誠意働く意欲のある明るいスタッフの採用・教育・評価をどうするかの検討
④借入、リースをいくらまでしてよいか、設備投資は過剰ではないか、過少ではないかの財務的戦略の検討
⑤患者さんにクリニックを知ってもらうために看板やHP、チラシはどのようにしたらよいかという広告の検討
など様々な検討をしなければなりません。
これを医療に専念してきたドクターが一人で検討するのは本当に大変です。
やはり、医療経営についてよく知っている人の力を借りるのが一番確実です。
ここで、どんな人の力を借りるか、ですが、まず「信頼できる人」の力を借りる必要があります。
「信頼できる人」とは別の言い方をすれば「誠実な人」「困っているときには親身になって相談に乗ってくれる人」「自分の利益だけで動くだけでなく、ドクターと自分の両者のWinWin(共に勝つ)という意識を持っている人」といってもいいかもしれません。
いくら能力が高く、経験があったとしても「信頼できる人」でなければチームメンバーに入れるべきではないと私は思います。
チームメンバーは永続的に一緒に歩んでいきたい、と思える人を選んだほうがよいと思います。心地よく、安心して仕事ができるからです。そして、相手も良くなっていくことに心から喜べる人間関係の方が幸福だからです。
次に大事なのは「その道の専門家」であることです。
設計士、社労士、税理士・会計士、コンサルタントなどが専門家として挙げられますが、「医療」の専門家かどうかは左記のタイトルからは判断できません。
飲食、美容室、不動産、IT、医療など専門家の中でも特に強い分野があります。
クリニック経営のチームにいれるべき専門家は「医療に強い専門家」です。
どうやって医療に強い専門家か否かを判断すればよいか、ということですが、実際に会ってクリニック経営について意見を聞いてみる、既に開業して成功しているドクターの紹介を受ける、他の医療経営の専門家からの紹介や評判を聞いてみる、というのがよいと思います。
医療という世界は非常にコアで強固な人的関係が構築されている世界だと思います。
医師の世界は「中高大と同じ学校だった、大学の授業も医学部と他の学部はほとんど交わることがない」、などの特殊性が関係しているかもしれません。
本当にすばらしい専門家をクリニック開業メンバーにすることができれば、クリニック開業の成功はぐっと近くなると思います。
クリニック成功はドクターの経済的安定や豊かさだけを実現するものではありません。
そこで働くスタッフ、そのスタッフの家族、地域の患者さんが安心して暮らせる基盤になり、安心安全な地域社会を創ることに大きく貢献することにつながることだと思います。
成功の秘訣は「自分にはない能力で、他の人が持っている能力を自分の能力として活用できること」だと思います。