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事例が教える「かかりつけ医のアドバイス」の大切さ

患者さんにとって、普段からお世話になっている、かかりつけ医の存在は心強いものです。特に原因不明の症状に対しては、底力を発揮します。

今回は、かかりつけ医のアドバイスのおかげで失明を防げた事例を紹介します。

  昨年の冬、頭痛の症状が出たというAさん。頭の右側が重い感じで、前頭部や右眼の奥がズキンズキンと痛んだそうです。

普段、まったく頭痛がないため、風邪かと思ったものの、熱、喉の痛み、鼻水などの症状はありませんでした

 Aさんは、近所の神経内科クリニックを受診しました。
症状を説明したところ、「検査をしたほうがよいでしょう」と告げられ、急性期病院を紹介されました。
  Aさんは急性期病院で頭部の画像診断検査を受けたところ、異常なしとの診断でした。急性期病院の眼科でも一通り検査を受けましたが、異常はありませんでした。
頭痛が続いて不安になったAさんは、かかりつけにしている耳鼻咽喉科に相談に行きました。
すると、医師から「専門外なので責任は持てませんが、どこかに発疹が出たらすぐに皮膚科を受診してください。
帯状疱疹による頭痛であれば、画像診断や眼科の検査では異常が出ないかもしれません」と言われました。
  案の定、その日の夜、Aさんは前頭部と背中に発疹が出ました。翌日皮膚科で抗ウイルス薬を処方していただき、完治したそうです。帯状疱疹は、子供のころに罹患した水ぼうそうのウイルスが神経節に潜み、何十年も後になって免疫低下を見計らって発症し、痛みのある発疹を生じさせる病気です。
 ウイルスが神経を侵すため、発疹の強い痛みが神経痛として残ったり、目や耳の近くなど頭部で発症した場合は顔面神経麻痺や失明、難聴など重度の障害に至ることもあります。
Aさんは右眼の奥に痛みを感じたので、抗ウイルス薬の投与が遅れたら失明の危険性があったのです。
 Aさんに限らず、高齢者の帯状疱疹患者が増加しています。
患者さんの原因不明の痛みの訴えに対しては、「発疹が出たら皮膚科に」という一言を付け加え、帯状疱疹から患者さんを守りましょう。かかりつけの患者さんが原因不明の症状を訴えてきたときは、あらゆる可能性を想定して、アドバイスをするように心掛けることが大切です。
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●プロフィール●
藤原恵子(ふじわら・けいこ)
医療系出版社の編集記者を経て独立。フリーの医療ライターとして、病院経営、開業ノウハウ、医療マーケティング、医療ボランティア、医療職のキャリアアップや結婚事情などをテーマに医療関連雑誌で取材・執筆活動を行う。書籍では、病院ランキングや医療マンガの取材協力、看護・介護関連書籍では『イラストでわかる高齢者のからだと病気』(中央法規出版)の企画・編集に携わる。趣味は人の話を聞くこと、古文書解読。
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