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クリニック経営 成功への道

クリニック経営が赤字のときの対策(経費削減編)

クリニック経営が赤字のときの対策(経費削減編)

はじめに:なぜ今、クリニック経営に「外科手術」が必要なのか

クリニックを開業し、地域医療の最前線で尽力されている院長先生。日々の診療に忙殺される中で、ふと通帳の残高を見て不安に駆られることはありませんか?

「患者さんは来ているはずなのに、なぜか手元にお金が残らない」「借入金の返済で毎月のキャッシュフローがギリギリだ」という悩みは、多くの院長先生が共通して抱えているものです。

前回のコラム「クリニック経営が赤字のときの対策(売上対策編)」では、赤字解消の攻めの一手である「売上(収入)を増やす対策」について解説しました。

しかし、どれだけ売上を伸ばしても、出口である「支出」の穴がそれ以上に大きければ、バケツに水は溜まりません。赤字を解消し、健全な経営を取り戻すためには、時として経営の「外科手術」とも言える徹底した経費削減と、財務構造の再構築が必要です。

本コラムでは、医科クリニックの経営・税務に特化した平井公認会計士事務所の視点から、「経費削減の真実」、「資金繰りを守るための融資戦略」、そして「役員報酬と生活費の適正化」まで、当事務所の知見をすべて注ぎ込み、徹底的に解説します。

「利益インパクト」の真実:経費1万円の重みを知る

まず、経営者として最も重要な「数字の感覚」を共有させてください。

クリニックの利益率が10%であると仮定しましょう。この状況で、10万円の売上を上げたとしても、手元に残る利益はわずか1万円です。売上を毎月10万円増やすためには、新たに多くの患者さんを呼び込み、診療しなければなりません。ところが、患者さんを増やすことは、外部要因に左右されやすいため、こちらでコントロールしにくい側面もあります。

しかし、「今、無意識に使っている経費を1万円削る」ことができれば、その1万円はそのままダイレクトに利益へと上乗せされます。つまり、「経費1万円の削減」は「売上10万円の増加」と全く同等の利益インパクトがあるのです。

売上増加は外部要因に左右されますが、経費削減は院長先生の決断一つでコントロールしやすい「内部要因」です。赤字という現状を打破する最短ルートは、この「コントロール可能な支出」にメスを入れることに他なりません。

診療材料費の適正化:価格交渉と「比較」の重要性

診療材料費や薬品費は、売上に連動して発生する「変動経費」です。ここを最適化できるかどうかで、収益構造は大きく変わります。変動経費を下げることができれば、診療1回当たりの利益を増やすことができるからです。

医療収益に対する材料費の割合のことを材料比率、または診療材料費率といいます。材料費率を下げることができれば、患者さんの数が増えなくても、利益を増やすことができます。そのための対策は、

  • 相見積もりによる価格交渉:院内処方・院外処方を問わず、診療材料の購入価格を精査してください。特定の業者と長年取引している場合でも、価格交渉や他社との相見積もりをとることを強くお勧めします。
  • 診療材料費率の把握:平井公認会計士事務所では、診療科ごとに診療材料費率の比較ができるようにしています。自院の材料比率が他院と比較して妥当かどうかを確認することが、改善の第一歩です。

人件費とDX:生産性を最大化する「攻めの経費削減」

人件費は、看護師や受付事務などの給与、賞与、そして法定福利費(社会保険料や労働保険料のクリニック負担分)を含む、クリニック最大の支出項目です。

医療収益に対する人件費の割合のことを人件費率といいます。

  • 人件費率の目安:健全経営のクリニックは人件費率が20%?25%であることが多く、30%以内に収まっているのが一般的です。30%を超えている場合、患者数に対してスタッフ数が多いか、給与水準が高すぎる可能性があります。
    ※ただし、整形外科の場合は理学療法士の給与水準が高い傾向にあるため、30%程度、35%以内が一つの目安となります。
  • DX化による業務効率化:スタッフが多いと感じる原因が、デジタル化の遅れにある場合、自動釣銭機、自動精算機、WEB問診、WEB予約の導入を検討してください。これにより単純作業の量を減らし、少人数でも効率的なクリニック運営が可能になります。

財務構造の再構築:キャッシュフローを守る融資・リースの使い分け

開業当初や赤字の時期は、売上が少ないためにキャッシュが減っていくので、資金繰りが厳しくなるケースが非常に多いです。

テナント賃料やスタッフの給料などの支払いのためのキャッシュが底をついたら、クリニックは倒産してしまいます。キャッシュがいつ底をつきそうかを予想し、その前に対策を打つことが大切です。

  • 銀行融資の申込が優先:銀行からの融資が受けられるのであれば、リースよりも銀行借入を優先すべきです。銀行借入はリース契約よりも返済期間を長く設定できるため、資金繰りにおいては圧倒的に有利となります。
  • 返済期間の見直し(リスケジュール):毎月の返済負担が重く経営を圧迫している場合は、銀行に相談して返済期間を延ばしてもらい、支出のスピードを抑えることを検討してください。銀行からの印象は多少懸念されますが、資金ショートを防ぐための重要な手段です。

聖域なき諸経費の網羅的チェック

通信費や福利厚生費、接待交際費、広告宣伝費など、クリニック経営で生じる細かい経費の積み重ねが、年間では大きなキャッシュの流出となっている場合もあります。

① 通信費の見直し

通信費には、電話代、ネット回線代、郵送代などが含まれます。

  • 電話やネット回線の整理:クリニックを事業承継した場合などに、昔の契約内容がそのまま残っていて異常に高いケースがあります。本当に複数回線が必要か検証してください。また、契約を見直すことで同じ条件でも費用が安くなる場合もあります。
  • 郵送コスト:郵便局のレターパックを多用している場合は、クリックポストに切り替えられるものがあればコストを抑えられます。

② 福利厚生費の適正化

福利厚生費には、職員旅行や忘年会、新年会、食事会などが該当します。

  • 継続性の検討:スタッフに喜んでもらいたいという想いが強すぎて過剰になり、経営を圧迫している例があります。一度始めると止める際の影響が大きいため、永続的に可能な範囲か見直すべきです。
  • 税務上の留意点:化粧品やサプリをスタッフに安く提供する場合、販売価格の70%以上かつ仕入原価以上で提供しないと、差額が給与として課税されるため注意が必要です。また、スタッフへの食事支給も所得税法上の非課税枠(月3,500円以下かつ本人半額負担など)のルールがあります。

③ 接待交際費と「会社標本調査」

医療法人1法人あたりの交際費等支出額の推移は、国税庁の「会社標本調査」で確認することができます。国税庁ホームページ「会社標本調査 年分(年度分)別リンク」をご参照ください。

医療法人でない個人事業主の方にとっても、同業種の平均値は一つの参考になります。交際費は最もコントロールしやすい経費の一つですので、一度累計額を検証してみてください。

④ 広告宣伝費の投資効果

広告宣伝費は、看板、電柱広告、SEO対策費用、WEB広告などです。患者さんが何をきっかけに来院したかの集計を行い、効果が薄いと思われるものは解約、または一時的な停止を検討してください。

⑤ 地代家賃の交渉

地代家賃は、土地代やテナント賃料、駐車場代などです。近隣の賃料上昇や物価高騰を背景に値上げを要求される場合もありますが、交渉によって賃料据え置きを勝ち取った事例もございます。

保険料の見直し:過大契約と「退職金積立」の余裕

保険料には火災保険、生命保険、医師賠償責任保険など多岐にわたる項目が含まれます。

  • 火災保険の支払い戦略:3年や5年の一括払いは1年あたりのコストは低くなりますが、多額の資金が一度に出ていきます。赤字の時は資金繰りを改善するため、あえて1年払いを選択することをお勧めします。
  • 生命保険と財務のバランス:保険会社の担当者は必ずしもクリニックの試算表を把握しているとは限りません。将来の退職金積立を考えるよりも、「今の資金繰りを改善すること」の優先順位が高いフェーズがあります。赤字の状態でありながら、退職金積立のための過大な生命保険に加入し続けていないか、冷静な判断が必要です。

保守料(メンテナンス料)と遊休資産の処分

医療機器やエレベーター等の保守料も、赤字脱却のために見直すべきポイントです。

特に自費診療(美容皮膚科等)を併設している場合、機器の数も多くメンテナンス料が高額になりがちです。機器の実際の活躍度合いを確認し、場所の占有度合いも考慮して、不要だと判断される医療機器は中古市場への売却を検討してください。平井公認会計士事務所では、売手と買手の情報を伏せた状態でのマッチングにより、売買を成立させた実績が多数ございます。

役員報酬と生活費の適正化

クリニック経営そのものは順調でも、役員報酬や私的な生活費が多すぎて経営を圧迫しているケースが少なくありません。

赤字の状況下では、まず院長自身の生活水準や役員報酬が、クリニックの現在の体力に見合っているかを客観的に見直す必要があります。役員報酬を適正化し、黒字化してキャッシュを内部留保させることで、結果的にクリニックの経営は安定します。

税務の誤解:「経費を使えば節税になる」の真実

「税金を払うくらいなら経費で使った方がよい」という考え方でクリニック経営をしていると、資金繰りの悪化を招くことが多々あります。

1万円を経費として使えば、当然ながら1万円の現金がなくなります。

1万円を経費に使わず利益として残せば、税金として数千円は出ていきますが、手元には必ず数千円の現金が残ります。その蓄積を内部留保といいます。内部留保の多いクリニックは、赤字のときでも対策の手を打つことができ、安定経営につながりやすいです。

税金を多く払った方が、最終的に手元に残るお金は多くなる」という事実を、経営者として強く意識してください。

【私見】院長の「覚悟」がクリニックを変える

経費を削る、銀行と交渉する、役員報酬を見直す。これらはいずれも精神的に負荷のかかる作業です。しかし、これらの決断を先延ばしにすればするほど、病状は悪化し、手の施しようがなくなります。

私は公認会計士として、院長先生に「耳の痛いこと」を申し上げることもあります。それは、先生のクリニックが5年後、10年後も地域に根ざし、安心して医療を提供し続けてほしいと心から願っているからです。

私の考察は、一般論だけでなく、現場の生きた数字に基づいています。一つの視点として、ぜひ重く受け止めていただければ幸いです。

経営の「かかりつけ医」として

赤字対策は一度行えば終わりではありません。定期的なチェックが必要です。平井公認会計士事務所では、医科クリニックに特化したプロフェッショナルとして、以下のサポートを徹底して行います。

  • 精緻な試算表の作成と経費分析:毎月の数字を分析し、異常値があれば即座に指摘します。
  • 融資・資金繰りの全面バックアップ:銀行交渉や返済計画の見直しをサポートします。
  • キャッシュフローの可視化:お金の流れを透明にし、経営の不安を取り除きます。

平井公認会計士事務所が経営支援をしているクリニックでは、経営の数字で問題があれば院長先生にすぐに報告し、対策をご提案するので、院長先生が医療活動に安心して専念できます。

おわりに

クリニック経営は山あり谷ありです。今の赤字は、次なる飛躍のための準備期間にすぎません。正しい知識と対策、そして少しの勇気があれば、必ず道は開けます

「どこから手をつけていいかわからない」「今の会計事務所からは具体的な提案がない」というお悩みをお持ちの院長先生。ぜひ一度、当事務所にご相談ください。医科専門の公認会計士として、貴院の軍師となり、共に黒字経営への道を歩ませていただきます。

平井公認会計士事務所では、初回無料相談(オンライン対応可)を承っております。貴院の決算書や試算表をもとに、具体的な改善案をご提示いたします。

(「コラムを読んで赤字対策の相談をしたい」とご記入いただけますとスムーズです)

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この記事の著者

平井公認会計士事務所
公認会計士・税理士:平井 恵介


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経営に役立つ「用語解説」

  • 変動経費:売上の増減に比例して変動する経費(診療材料費、薬品費、外注検査費など)。
  • 固定的経費:売上の増減に関わらず毎月一定額発生する経費(家賃、給与、保守料など)。
  • 法定福利費:クリニックが負担するスタッフの社会保険料(健康保険・厚生年金等)のこと。
  • 減価償却費:高額な設備を、耐用年数に応じて分割して経費計上するもの。
  • リスケジュール:銀行借入の返済条件を変更し、毎月の返済額を一時的に減らすこと。

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