クリニックのチェーン展開なら医療専門の平井公認会計士事務所にご相談ください
- 2026.02.2|クリニック経営 成功への道

はじめに:チェーン展開は「医療法人」だけに許された高度な成長戦略
クリニックの経営が安定し、地域での信頼を確立された理事長先生が、次に検討されるのが、分院展開(チェーン展開)です。複数の拠点を構えることで、より広域の患者様に医療を提供できるだけでなく、医療法人としての規模の経済を活かした経営が可能になります。
ここで重要な法的ルールを再確認しておかなければなりません。クリニックのチェーン展開は、医療法人でなければ行うことができません。
個人経営のクリニックの場合、一人の医師が開設できる診療所は原則として一箇所に限られており、複数の拠点を運営することは法律で禁じられています。つまり、チェーン展開を志すことは、必然的に医療法人としての強固な経営基盤を構築し、組織として次のステージへ進むことを意味します。
クリニックのチェーン展開の成否を分けるのは、主に戦略的な「立地」の選定、そして何より本院の目が届かない場所で現場を預かる「サテライト院長のマネジメント」です。医科特化の公認会計士・税理士として多くの支援実績を持つ平井公認会計士事務所の知見に基づき、チェーン展開成功への道筋を解説します。
クリニックのチェーン展開なら、支援実績豊富な医療専門の平井公認会計士事務所まで、お気軽にご相談ください。
チェーン店の戦略的立地選定と「ソフト(人)」の融合
チェーン展開において、まず大前提となるのは「立地」です。本院のブランド力が波及するエリアなのか、あるいは全く新しい商圏なのか。競合の数、視認性、アクセスの良さ、そして将来的な人口動態といった不動産的価値は、初期の集患スピードを左右する極めて重要な要素です。
しかし、どれほど素晴らしい立地を確保しても、そこで診療を行う「医師(サテライト院長)」がいなければ、クリニックは機能しません。立地という「ハード」を活かせるかどうかは、サテライト院長が意欲を持って継続的に診療に当たり、地域に根ざしてくれるかという「ソフト」の質にかかっています。
サテライト院長ありきでチェーン展開のプロジェクトを進めたものの、もしオープン後に院長が離脱してしまったらどうなるでしょうか。残るのは多額の設備投資という負債、そして稼働していないにもかかわらず発生し続けるスタッフの給与や地代家賃といった固定費です。これは法人経営にとって致命的なダメージとなります。
チェーン展開の本質は、この「人的リスク」をいかにコントロールし、共に成長できる環境を整えるかにあるのです。
オープン準備期間の給与設計:トラブルの芽を摘む契約実務
サテライト院長を招聘する場合、一般的にはチェーン店がオープンする数ヶ月前に、サテライト院長候補の先生は勤務先の医療機関を退職されます。
退職してからチェーン店がオープンするまでの数ヶ月間、サテライト院長には本院で週に数日勤務していただくケースが多いです。
これは本院での診療スタイルやオペレーション、クリニックの理念を学んでいただくための重要な「研修・融合期間」となります。本院で勤務しない日は、他の病院等で非常勤として働かれることもあるでしょう。
ここで見落としがちなのが、この期間の処遇です。この時期、チェーン店はまだオープンしていません。したがって、先生は「サテライト院長」でも「サテライト管理者・理事」でもありません。そのため、この期間については「一般的な医師給与」として、1日いくら、あるいは月いくらという給与設定を行う必要があります。
この待機・研修期間の給与について、理事長とサテライト院長の間で事前に明確な合意が取れていないと、後の大きなトラブルに発展します。
平井公認会計士事務所では、こうした細部まで踏み込んだ契約書の提案を行い、先生方の信頼関係を法的に担保いたします。
サテライト院長の「役員報酬」設計とインセンティブ
チェーン店がオープンした後は、院長は診療所の「管理者」となり、医療法人の「理事」として経営の一翼を担う存在となります。したがって、その対価は単なる「給与」ではなく、経営責任を反映した「役員報酬(理事報酬)」として設計することになります。
① 招聘時の条件提示:安心感と敬意
サテライト院長を選任する際、現在お勤めの施設での待遇を詳細に把握し、それと同等、あるいは責任の重さを考慮してプラスアルファの条件を提示することが基本となります。
これは勤務先の病院から医師を奪い取るような「引き抜く」という考え方ではなく、法人のビジョンに共感し、新たな拠点を共に創り上げるパートナーとして、最大限の敬意を持って招聘するための最低限の礼儀です。
② 業績連動型報酬の導入
平井公認会計士事務所では、チェーン店が一定の売上基準を超えた場合に、サテライト院長の報酬を増額する仕組みを推奨しています。
- 基準の設定:初期投資(内装、機器)の減価償却費、スタッフ人件費、家賃、適正利益を精緻に算出し、損益分岐点を見極めます。
- インセンティブの算定:その分岐点を超えた成果に対し、役員報酬を上乗せします。
③ 非常勤医師(バイト)が入った場合の補正ルール
代診が入る場合、サテライト院長は自身の診療に集中でき、あるいは管理業務に時間を割くことが可能になります。この際、以下のいずれかの手法で「売上の補正」を行うのが公平です。
- 経費控除方式:非常勤医師に支払った報酬分を、計算上の売上から差し引いて院長報酬を算定する。
- 売上除外方式:非常勤医師が担当した診療枠の売上を、院長のインセンティブ対象から外して算定する。
これらを事前に決めておくことが、感情的なズレを防ぐ鍵となります。
給与を「経費枠」にスライドさせる発想と税務メリット
役員報酬を額面通りに支払うだけでなく、法人の「必要経費」を戦略的に活用することで、院長の実質的な手取りを最大化し、法人の財務を最適化できます。
例えば、院長が他の医師と情報交換のために1万円の飲食をしたとします。これを「医療法人にとって有益な情報を得るための交際費」として法人が支出する場合、法人のキャッシュアウトは1万円です。一方、院長が個人で1万円を払う場合、所得税・住民税の最高税率が50%だと仮定すると、院長が手元に1万円を残すためには、法人は2万円の報酬を支払わなければなりません。
- 法人が給与として2万円支出 → 院長が1万円納税 → 残り1万円で支払い
- 法人が経費として1万円支出 → 院長は個人の財布を痛めない
この差は歴然です。平井公認会計士事務所では、サテライト院長に対し、正当な範囲内での「経費枠(交際費、車両費、書籍代など)」の付与を提案しています。
車両も同様です。サテライト院長が個人で購入した車両を使用するよりも、法人の資産として車両を購入し、診療等に使用する方が圧倒的に効率的です。
もちろん、これらは「医療法人の運営上、必要と認められるもの」に限られます。私的な支出を潜り込ませるような指導は一切行いません。あくまで健全な「経営効率の追求」としての提案です。
医療法上の義務と経営視座の共有
サテライトクリニックの院長は、管理者として「理事」に就任しなければなりません。
【根拠条文】医療法第46条の5第1項および第6項に、「医療法人は原則として理事三名以上を置く必要があり、かつ医療法人が設立する診療所の管理者は、理事を兼ねなければならない」と定められています。
理事は決算書の内容を把握する権利と義務が生じます。サテライト院長が「自分の拠点の利益に基づいた報酬アップ」を要望した際、理事長として単に感情的に応じるのではなく、投資回収計画や内部留保の重要性を数字で論理的に説明し、納得感を得ることが大切です。その説明のバックアップを当事務所が行うのでご安心ください。
また、売上が下がり赤字に転落した場合に備え、報酬を改定できる仕組みを事前に「覚書」として交わしておく必要もあります。最悪の事態を想定して契約を固めることこそが、サテライト院長との良好な関係を長続きさせるのです。
「卒業」のカタチ:独立・譲渡への備え
優秀なサテライト院長が「このチェーン店を買い取って独立したい」と考えるケースがあります。サテライト院長が独立という道を選ぶのであれば、「お互いが納得できる条件で、良い関係を維持したまま卒業できる」よう支援いたします。
そのために不可欠なのが、立ち上げ時からの部門別の計数把握です。
当事務所では、決算書の貸借対照表(B/S)を完全に分離するまでは行いませんが、固定資産、現預金・借入金の推移、損益の累積を部門ごとに分離して把握することを徹底しています。これにより、譲渡対価の算定根拠が明確になり、納得感のある承継が可能になります。
チェーン店の売却を検討されているクリニックも、その売却の妥当性検討やスムーズな売却のための経営改善について、平井公認会計士事務所までお気軽にご相談ください。
平井公認会計士事務所独自の多角的経営分析
平井公認会計士事務所では、単なる会計の記帳にとどまらず、本院とサテライト医院の「経営指標の比較分析」を徹底して行います。
- 診療材料費や検査委託費などの売上原価率の比較
- 人件費率、利益率の比較
これによって「本院では、算定している点数をチェーン店では取り漏れていないか?」「チェーン店の方が人件費率が高く、スタッフのゆとりがありすぎないか?」「消耗品を使いすぎていないか?」といった検証を行い、無理・無駄のない経営状態へと導きます。
事務負担の増大とバックアップ体制
チェーン展開をすると、通帳や領収証、契約書の管理といった事務業務が間違いなく増大します。診療所規模では「事務長」を専任で雇うほどではありませんが、理事長先生やご配偶者が行うにはあまりに煩雑です。
平井公認会計士事務所では、以下の業務を代行・サポートしています。
- 振込代行サービス:正確な振込作業をサポート。
- 行政書類の作成代行:経済実態調査表の作成提出などを代行。
- 事務プロセスの構築:複数拠点の事務フローを効率化。
平井公認会計士事務所にこれらのサポートもお任せいただくと、これらの業務の煩わしさから解放されるだけでなく、これらの業務が適切に行われるようになり、効率よく経営できるようになります。
結び:理想の経営を支えるパートナーとして
クリニックのチェーン展開には、数字、法律、そして人間関係が複雑に絡み合います。平井公認会計士事務所は、先生が医療に専念できるよう、財務・労務・事務のすべてにおいて伴走いたします。
5年、10年先を見据え、日本一の顧問先数と質を目指す当事務所と共に、先生の人生を変える新たなステージへ踏み出しませんか。ぜひ一度、ご相談ください。
オンライン面談にて全国のクリニックに対応可能です。まずは下記のお問い合わせフォームより、お気軽にご連絡ください。
(「コラムを読んでチェーン展開の相談をしたい」とご記入いただけますとスムーズです)
※ 医科特化のため、歯科の先生は原則対応しておりませんのでご了承ください
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