依頼が来たらどうする? 保険調査協力のメリットとデメリットとは?
- 2017.04.25|医業経営
先生方は、保険会社から保険調査の協力依頼を受けた経験はありますでしょうか。
患者さんが生命保険に加入する際、健康状態についての告知書を保険会社に提出します。
入院保険金が支払われる保険商品の場合、保険加入者が加入後に発病すると、入院保険金が支払われます。
加入後すぐに入院保険金の請求があると、保険会社は発病時期を確認するために、入院先の医療機関やかかりつけ医に情報提供の問い合わせをすることがあります。
これが保険調査です。患者さんからの同意書を得てからの協力依頼が大前提となります。
整形外科開業医のA先生は、過去2回保険調査に協力したことがあるそうです。
1回目は脊柱管狭窄症のBさん、2回目は頚椎椎間板ヘルニアのCさんについての問い合わせでした。
保険調査に協力した結果、Bさんからは文句を言われ、Cさんからは感謝されたそうです。なぜだと思いますか?
Bさんは、脊柱管狭窄症を保険加入時に内緒にしていたので、結果として入院保険金が支払われませんでした。
一方、Cさんは、加入後の発症が証明されたので、「先生のおかげで入院保険金が支払われました」と話していたそうです。
保険調査協力にはメリットとデメリットがあります。
デメリットは、Bさんのように本人の同意書に基づく情報提供であっても、クレームにつながることがある点です。
また、保険会社へ渡す書類を作成する際、通院状況などを記入しなければならず、思いのほか面倒で、時間をとられます。
メリットは、保険調査に協力したことで入院保険金の支払いにつながり、患者さんのプラスになることです。
面談料や書類の作成費用は保険会社から支払われます。
また、Cさんのケースのように、通院を中断していて気になっていた患者さんのその後の状況が判明することもあります。
BさんとCさんの保険調査を経験して、A先生は保険調査に対する今後のスタンスを、次のように決めたとのことです。
・保険調査は原則受ける
・ただし面談時に、調査に協力して患者さんのプラスになるのかどうかを保険調査員に確認する
・患者さんにプラスになるのであれば書類作成に協力する。クレームにつながりそうなケースは、面談には協力するが書類作成には協力しない
保険調査への協力は義務ではありません。協力するかどうかは開業医の先生方次第です。
保険調査に協力するかどうか迷ったら、A先生の判断基準を参考にされてはいかがでしょう。
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[プロフィール]
藤原恵子(ふじわら・けいこ)
医療系出版社の編集記者を経て独立。フリーの医療ライターとして、病院経営、開業ノウハウ、医療マーケティング、医療ボランティア、医療職のキャリアアップや結婚事情などをテーマに医療関連雑誌で取材・執筆活動を行う。書籍では、病院ランキングや医療マンガの取材協力、看護・介護関連書籍では『イラストでわかる高齢者のからだと病気』(中央法規出版)の企画・編集に携わる。趣味は人の話を聞くこと、古文書解読。
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