開業後に差がつく!クリニック開業支援を依頼すべき税理士の選び方
- 2026.07.15|クリニック経営 成功への道
クリニックの開業準備を進める先生の多くが、税理士事務所や会計事務所に相談をされます。しかし、「開業支援を依頼する税理士選び」を、資金調達や物件選定ほど重要視していない先生が少なくありません。
実は、開業時にどの税理士を選ぶかは、開業後3年、5年という長いスパンで経営の安定度を左右します。開業準備の数ヶ月間に、どれだけ丁寧に経営の土台づくりをしてもらえるかで、開業後の資金繰りや税務処理の正確さが大きく変わってくるからです。
厚生労働省の医療施設調査によれば、全国の一般診療所数は増加傾向が続いており、開業・廃業ともに活発な状況が続いています(参考:厚生労働省「医療施設調査」)。
このように競争環境が厳しくなる中で、よりシビアな経営計画が要求されるようになりました。税理士選びを間違ってしまうと、そのつまずきを取り戻す余力は、決して大きくありませんので、開業後の挽回が大変になります。
だからこそ、開業を支える税理士選びが重要なのです。
本コラムでは、医科クリニックに特化した平井公認会計士事務所が、これまでの開業支援の実務経験をもとに、「開業支援を安心して依頼できる税理士」を見極めるための具体的な基準を解説します。これから開業される先生、開業準備中で税理士選びに迷われている先生は、ぜひ参考にしてください。
開業支援と顧問業務のつながりで本当に大切なこと
税理士事務所に何人かスタッフが所属していると、開業支援を担当する者と、開業後の月次の記帳・経営相談を担当する者が別になるところがあります。これは平井公認会計士事務所も例外ではありません。
ここで大切なのは、「担当者が変わるかどうか」ではありません。担当者が変わっても、開業準備の段階で先生と共有した考え方やクリニックの方針、事業計画の前提条件が、開業後の担当者にきちんと引き継がれているかどうかです。
開業準備中に、
- 「なぜこの立地を選んだのか」
- 「どのような診療方針か」
- 「資金繰り上、どこに余裕がなく、どこにゆとりがあるのか」
といった情報が事務所内で共有されていれば、担当者が変わっても、先生が同じ説明を繰り返す必要はありません。逆に、この共有ができていない事務所では、開業後の経営相談のたびに、開業の経緯を先生自ら状況を説明し直すことになり、相談の精度も下がってしまいます。
税理士選びのときの面談の際は、「開業支援の内容は、開業後の担当者にどのように引き継がれますか」と質問してみてください。この質問に具体的に答えられるかどうかが、事務所としての情報共有体制を見極めるポイントになります。
開業支援を依頼する税理士を見極める5つの基準
先生が実際に、支援依頼を検討している税理士と面談される際に、確認していただきたい基準を5つにまとめました。表面的な「実績件数」だけでは分からない、開業支援の質を見極めるための視点です。
1.開業費の仕組みを丁寧に説明し、開業準備での領収証管理まで指導してくれるか?
開業のために特別に支出する費用は「開業費」として、開業後、任意のタイミングで経費にすることができます。開業日より前に発生した支出であっても、開業準備のためのものであれば、原則として開業費として計上できます。
ただし、開業費として計上するには、税務署から問い合わせがあった際に、その支出が本当に開業のためのものであることを、領収証や請求書などの客観的な資料で証明できなければなりません。
開業前は現金や個人のクレジットカードでの支払い、クリニック用クレジットカードでの支払い、通帳からの振込など、支払方法がいくつも混在します。この整理を怠ると、後から「この支出が何のためのものだったか」が分からなくなり、本来経費にできるはずの開業費が、経費として認められなくなってしまうことがあります。
経費として認められない場合には、追徴課税などの余計な出費がかかる場合があります。
税理士選びのときに、開業準備で発生した費用の領収証の分類方法や保管方法まで具体的に指導してくれる税理士かどうかを確認してください。一般的な税理士事務所では、開業費の説明はしても、ここまで実務レベルの整理方法まで指導しないケースが多いようです。
2.プライベート口座・プライベートカードで支払った開業費を追跡できる仕組みがあるか?
先生が開業を決意してから、クリニック用の事業用口座が開設できるまでの間、設計料の着手金や建築工事の着手金など、大きな金額の支払いが個人の通帳やクレジットカードから行われることがよくあります。
このとき、支払いの記録方法を事前に教わっていないと、後になって「プライベート通帳から出た300万円が、何の支払いだったか分からない」という事態が起こります。
本来は開業費になるはずの支出であっても、通帳の出金と、その根拠となる請求書や領収証との対応関係があいまいになると、結局、開業費として処理できなくなってしまうことがあります。
開業前の支払いが事業用口座に一本化される前の期間について、個人口座・個人カードからの支払いをどう記録すればよいか、具体的な方法を教えてくれるかどうかは、実務経験の深さが表れるポイントです。
この記録方法も、領収書の扱いといっしょに質問し、具体的にアドバイスしてくれるかを確認してください。
3.予算と購入実績を照らし合わせて、資金繰りを管理してくれるか?
税理士に依頼をすると、まず物件の契約や事業契約書の作成を行います。それを持って、銀行に融資を依頼します。
事業計画書の作成段階では、医療機器代がいくら、備品代がいくら、開業後に患者様から得られる収益がいくら、といった予算を組みます。そして、事業計画書に基づいてクリニックの開業準備を進めていきます。
しかし、実際に機器や備品の購入を進めていくと、当初の予算をどの程度使っているのか、先生ご自身では把握しきれないことがあります。その結果、事業計画上の予算をオーバーして、開業後の運転資金にまで食い込んでしまうケースが見受けられます。
開業準備の期間中、予算と購入実績を照らし合わせながら、予算超過の兆候を早めに把握し、先生と一緒に軌道修正できる税理士であれば、開業後の資金繰りに余裕を持たせやすくなります。
税理士選びの面談の際は、「開業準備中、予算と実際の支出(予実)を、どのような頻度で確認してもらえますか」と質問してみてください。
4.銀行融資に必要な書類を、早め早めに準備させてくれるか?
銀行融資の審査では、事業計画書だけでなく、直近数期分の確定申告書、先生ご本人や配偶者の資産・負債の状況、そして親族に医療従事者がいるかどうかの確認まで求められることがあります。
親が医師である場合、開業当初の経営が多少不安定でも、家族からの支援が見込めると銀行が判断する材料になることがあるためです。
これらの書類は、直前になって慌てて準備しようとすると、金融機関との協議が遅れ、開業日そのものが後ろ倒しになりかねません。なぜなら、銀行の融資が下りてから内装工事がスタートするからです。
開業支援を依頼する税理士が、余裕を持ったスケジュールで、必要書類を早い段階から案内してくれるかどうかは、開業スケジュール全体に直結する重要なポイントです。ここは、税理士の経験が効果を発揮するところです。
5.税務以外の開業実務まで、広く目配りしてくれるか?
開業準備では、税務以外にも多くの実務判断が発生します。例えば、
- レジの釣銭や金種の準備
- テナントで開業する場合の借家人賠償責任保険への加入
- 電子カルテやCT等の医療機器購入時に活用できる補助金の有無
- 少額減価償却資産(※1)の特例を受けるための領収証・請求書の明細記載の仕方
- 開業前に勤務していた病院の健康保険を任意継続するか医師国民健康保険に切り替えるかの選択
- 開業後は住民税の納付方法が給与天引き(特別徴収)から自分で納付する方式(普通徴収)に変わること
などなど、税務の枠を超えた論点が数多くあります。
一般的な税理士事務所では、ここまで税務に直接関係のない周辺実務まで案内しないことが多いようです。開業準備中にどこまで広く目配りしたアドバイスをしてくれるかも、開業支援を依頼する税理士を選ぶ際の重要な判断材料になります。
これらの項目を、税理士選びのときに質問すると良いと思います。
(※1) 少額減価償却資産について
ここで少額減価償却資産の特例とは、青色申告をする中小企業や個人事業主が、取得価額が40万円未満の資産を買った年に全額経費にできる制度です。上限は合計300万円までです。通常、数年に分けて計上する費用を一度に落とせるため、大きな節税効果があります
詳しくは、中小企業庁ホームページ「少額減価償却資産の特例」をご参照ください。
面談時に使える5つの質問チェックリスト
先生が実際に税理士との面談で使えるよう、5つの基準を質問形式にまとめました。
- 開業前の領収証は、支払方法ごとにどのように区分整理すればよいか教えてもらえますか?
- 個人口座やプライベートカードで支払った分は、どのように記録すればよいですか?
- 機器や備品の購入予算と実績は、どのくらいの頻度で確認してもらえますか?
- 銀行融資の必要書類は、いつ頃から準備を始めればよいですか?
- 税務以外の開業準備(保険、補助金、健康保険の選択など)についても相談できますか?
これらの質問に、具体的な方法や時期を挙げて答えられる税理士であれば、開業後も安心して任せられる可能性が高いといえます。
こんな税理士は要注意!当事務所に相談があった事例
これまでの支援経験の中で、開業後に先生から「困っている」とご相談を受けたケースには、いくつかの共通点がありました。
例えば、開業前の領収証整理の重要性を十分に説明されないまま開業したケースです。
個人の通帳やクレジットカードから多額の支払いをしていたにもかかわらず、その記録方法を教わっていなかったため、根拠資料との対応関係を確認できずにいました。
開業費として計上できるはずの支出の多くがあったのにも関わらず、結果として経費として計上できなかったため、多くの税金を支払うことになりました。
開業費は、開業後の複数年にわたって節税効果を発揮できる重要な項目です。この整理を怠ることは、先生にとって大きな機会損失になります。
また、銀行融資に必要な書類の準備が直前になってしまい、金融機関との協議が長引いて、開業予定日が数週間後ろ倒しになったケースもあります。テナントの契約や内装工事の日程は、開業日を基準に組まれていることが多いため、こうした遅れは他の準備にも連鎖的に影響してしまいます。
このような事態を避けるためにも、前述の5つの基準を、契約前の面談で必ず確認することをお勧めします。
平井公認会計士事務所の開業支援へのスタンス
平井公認会計士事務所は、医科クリニックに特化した公認会計士・税理士事務所として、開業支援の段階から、開業費の考え方や領収証の整理方法を、先生に丁寧にご説明しています。
現金・プライベートカードでの支払い分、クリニック用クレジットでの支払い分、通帳からの振込分を区分して整理いただく仕組みを整え、開業前の支出を漏れなく開業費として計上できる体制を整えています。
また、開業準備中は、予算と購入実績を照らし合わせながら、機器や備品の購入が予算を超過していないかを確認し、運転資金を圧迫しないよう先生と一緒に管理しています。銀行融資に必要な書類についても、確定申告書や資産状況の確認書類など、余裕をもったスケジュールで早めにご案内することを徹底しています。
さらに、レジの釣銭準備や損害保険の加入確認、医療機器購入時の補助金の有無、健康保険の選択、住民税の納付方法の変更など、税務の枠を超えた開業実務についても、開業前にまとめてお伝えする体制を整えています。
またさらに、当事務所の支援は開業後も続きます。
当事務所では開業時の事情を後任スタッフに資料とともに引き継ぎ、情報が共有された複数人の体制でサポートしています。先生からは、「いつ電話しても、事情をわかってくれる人が対応してくれる」とご好評いただいています。
こうした周辺実務まで含めて相談でき、開業後も安心して任せられることが、一般的な税理士事務所との大きな違いだと考えています。詳しい支援内容は、「クリニック開業支援」をご覧ください。
まとめ
クリニック開業支援を依頼する税理士選びは、開業後何年もの経営に影響する重要な判断です。「開業支援の実績」だけでなく、「開業費の管理をどこまで丁寧に指導してくれるか」「プライベート口座・カードでの支払いを追跡できる仕組みがあるか」「予算と実績を管理してくれるか」「銀行融資書類を早めに案内してくれるか」「税務以外の実務まで目配りしてくれるか」という5つの基準で、じっくりと見極めてください。
また、開業後も引き続き経営や実務のサポートを丁寧に行ってくれて、先生が医療活動に集中できるようにしてくれるかどうかも、税理士選びのポイントです。
平井公認会計士事務所は、医療専門の公認会計士・税理士事務所として、開業準備の細部から開業後の経営、将来の法人化まで、先生に一貫して伴走いたします。クリニック開業を検討されている先生は、ぜひ一度、無料相談をご利用ください。

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※ 本コラムは一般的な情報提供を目的としており、個別の税務・経営判断については必ず当事務所等の専門家へご相談ください。
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税理士によって支援内容が異なりますが、医療専門の平井公認会計士事務所による「クリニック経営参謀」としてのコンサルティング内容を解説します。開業支援から開業後の経営支援まで、決算書の数字と経験・実績に基づいて、クリニックを安定経営に導き、先生の「理想の医療」と「ご家族の幸せ」を守ります。
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